女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
「正気? だって、家族でもない私が一生居座るんだよ。玲人くん、女嫌いじゃないの」
 玲人くんに顔を近づけて確認すると、彼はシャンパンを口にしながら穏やかな声で言う。
「優里ならいいよ」
 玲人くんがおかしい。シャンパンで酔ってしまったのだろうか?
 でも、彼の顔は赤くない。
「なんで……私ならいいの?」
 玲人くんの言葉が信じられなくてしつこく質問を続けたら、花火の音が大きくドンと鳴った直後に彼が私の目をまっすぐに見て告げる。
「お前が好きだから」
 一瞬頭が真っ白になった。
 時が止まったみたいだ。
「え?」
 玲人くんが私を……好き?
 花火の音で私の耳がおかしくなったのだろうか?
 彼が私を好きなんて天地がひっくり返ってもあるわけがない。
「あの……玲人くん、聞き間違いでなければ、私のこと……好きって言った?」
 心臓が花火の音みたいにドッドッドッと大きな音を立てている。
 信じられない思いで聞き返す私を見て、彼が極上に甘い目で微笑む。
 その目は空に上がる花火よりも綺麗で、輝いて見えた。
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