女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら～17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます～

　すると、優里が「ああ～！」と声を上げるので、少し顔を顰めながら彼女をじっと見据えた。
「今度はなに？」
　朝から賑やかなのはいつも通りだな。
「れ、玲人くんの背中に引っ掻き傷が……。多分、私が引っ掻いちゃったんだと……。ごめんなさい」
　申し訳なさそうに謝る彼女に言われ、ようやく気づいた。
「ああ。道理でシャワー浴びた時になにか染みると思った」
「薬を塗らなきゃ」
　大騒ぎする彼女に淡々と返した。
「この程度なら必要ない」
「本当に、本当にごめんね」
　手を合わせて優里が謝ってくるので、優しく彼女の頭に触れた。
「謝らなくていいよ」
　俺より優里の方がもっと痛かったはず。
　昨夜彼女を抱いた時、俺の背中にしがみついて我慢していたから。
「目瞑ってるから、早く服着たら？」
　優里にそう促して目を閉じると、彼女がベッドを出る気配がした。
　しかし、「うっ」と呻いて、動く様子がない。
「どうしたの？」
　目を開けて問うと、彼女が床にしゃがみ込んでいた。
「下腹部が痛くて……」