女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
 一週間後――。
「相変わらずあの娘と住んでいるようだな。早く追い出せと言っただろ」
 親父が激昂するが、平然として返す。
「もう子供じゃないんです。自分のことは自分で決めます」
 内線で親父に副医院長室に呼び出されて来てみれば、また優里の話だった。
「そういうわけにはいかない。お前はいずれこの病院を継ぐんだ。軽い行動は慎め。もう病院の職員は皆お前があの娘と住んでいると知ってるぞ」
 親父はかなり苛立っていたが、俺は冷静だった。
「あの娘じゃありません。優里です」
 冷ややかに訂正すると、親父がぶち切れる。
「名前なんてどうでもいい。いいか、お前に縁談の話が来ている。今週中に娘を追い出……⁉」
「回診の時間なので失礼します」
 最後まで親父の話は聞かずに、一礼して副医院長室を退出する。
 ああいう父はまともに相手にしてはいけない。なにを言っても聞かないのだ。
 脳神経外科の病棟に行き、明日手術する健くんの病室にノックをして入ると、参考書を読んでいた。
「勉強もほどほどに」
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