女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら～17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます～

　俺が右手を差し出すと、彼女が医療器具を渡すように「はい」と手渡してきた。
「サンキュ」と言って、ノートをチェックし、間違いを訂正していく。その様子を横で優里が見てて、感心したように言う。
「玲人くん、計算式書かずに解くってすごいよね」
「頭の中で書いてるだけ。算数全部見ておくから、他の教科進めてていいよ」
　問題を解きながら優里にそう言ったら、彼女が慌てた。
「え？　明日玲人くん手術だし、それはさすがに申し訳ないよ」
「リラックスできてちょうどいいから」
　オンオフがはっきりしていい。
「算数解いてリラックスできるの？」
　俺の返答を聞いて優里がギョッとした顔で聞き返してきたので、ノートから顔をあげ、彼女の目を見て微笑んだ。
「ああ。気分転換になっていい」
　算数を解くのもリラックスできるけど、一番心が休まるのは彼女がいる空間にいること。
「玲人くんってやっぱ天才だよね」
「そんなことない。ただ好きなだけ。問題解くのが快感っていうか」