女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
12,彼の家に帰りたい
「今日、雨降るかもしれないって。玲人くん、折り畳み傘持っていった方がいいよ」
病院に行く準備をしていると、テレビの天気予報で東京はにわか雨の可能性があるとお天気キャスターが言っていた。
 ネクタイを締めている玲人くんに教えてあげると、彼は平然として返す。
「置き傘してるから問題ない」
 そんな彼を見て、安堵した。
 今日は健くんの手術があるけれど、いつもと変わらない。
 睡眠もしっかり取れてるみたいだし、緊張もないようだ。
 玲人くんと一緒にマンションを出て、病院に着くと、「今日の晩ご飯はしょうが焼きだよ」とエレベーターに乗る彼に声をかけた。
 玲人くんにプレッシャーをかけたくなかったから、「頑張って」とは言えなかった。
「ああ」と彼が返事をして私の頭をポンと叩く。
 多分、心配するなって言っているのだろう。
 今日はなるべく表情には出さないでいるつもりだけど、両手に旗を持って応援したい気持ちは彼にダダ漏れかもしれない。
 玲人くんはクールだから、あまり自分の感情を人に伝えることはないが、思いが通じ合ってからは、私に優しく触れてくれるようになった。
 
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