女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
「……帰りたい」
 自分の気持ちがそのまま声になる。玲人くんがいるあの家に帰りたい。
「玲人くんの家に……帰りたい……よ」
 手にポタッと涙が溢れ落ちる。今日は泣いてばかりだ。
「玲人くん……会いたいよ」
 泣きじゃくっていたら、誰かが私の前に立つ気配がした。
「馬鹿。だったらなんで家出する?」
 え? この声は……。
「……玲人……くん?」
 顔を上げたら目の前に髪を乱した玲人くんがいた。
 前屈みになって胸に手を当て息を整えている。
 恐らくここまで走ってきたのだろう。
 突然彼が現れてパニックになった。
「ダメ。来ないで!」
 ベンチから立ち上がり、走って逃げようとするも、彼に呆気なく捕まった。
「優里!」
 玲人くんが私の手を掴んで、そのまま一気に抱き寄せて告げた。
「行くな。俺から離れるな」
 命令というよりは懇願するような声だった。

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