女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
 突然ドアが開いて院長である祖父が現れた。
「途中からだったが話は聞かせてもらったよ。部屋から声が漏れていたからね」
 ニコニコ笑っているが、祖父の眼光はとて鋭い。
「貴文、お前は地位や金に固執しすぎて、本質を見失っている。強引に縁談を進めても玲人が反対ならうまくいくわけがない。玲人が選んだのが優里ちゃんなら、お前も受け入れるべきだ」
静かな声だったが、祖父の怒りが伝わってくる。
「ですが、父さん……」
 親父が反論しようとすると、祖父が諭すように告げる。
「私もだが、お前以外の家族は皆彼女を気に入っている。働き者で気立てのいい優しい娘だ。 お前が認めないなら、玲人は本当にこの病院を出ていくぞ。国内だけでなく、アメリカやドイツの病院からもオファーが来ているのだろう?」
 祖父がチラリと俺に目を向けたので、コクッと頷いた。
「そうですね」
 オファーはいくつも来ていた。しかし、俺がこの病院の跡取りだったから受けなかった。
「玲人、お前の好きにすればいい。お前が優里ちゃんを選んで嬉しいよ」
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