女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら～17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます～

「玲人くん……会いたいよ」
　しゃくり上げてなく彼女に近づき声をかける。
「馬鹿。だったらなんで家出する？」
　息を整えながら問うと、彼女が顔を上げて俺を見た。
「……玲人……くん？」
　やっと見つけたと思ったら、優里は俺を見るやいなやひどく動揺した様子で俺から逃げようとする。
「ダメ。来ないで！」
　悲痛な声で叫ぶ優里を追いかけて、この手で捕まえた。
「優里！」
　しっかりと優里をこの腕で抱きしめて、命じる。
「行くな。俺から離れるな」
　それは俺の我儘。
　優里がいなくなってわかった。
　彼女がいなければ、俺の人生は単調なものになる。
　生きてる感じもしない。
　ふたりで様々なことを乗り越えて一緒に笑ってきた。
　俺が泣けない分こいつが泣いて……。
　そんな女、こいつしかいない。
　俺が求めているのだって優里ひとりだけ。
「出ていくなんて許さない。ずっと俺と一緒にいろ」
　優里を強くかき抱いて、彼女に言い聞かせる。
　三十二年生きてきて、ここまで感情的になったのは初めてだった。