女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
「玲人……くん」
 優里が俺のシャツをギュッと掴んでくる。
「でも……副医院長が……」
 親父のことを気にしている彼女に、安心させるように言う。
「大丈夫。親父とは話をした。もう文句なんて言わせない。だから、お前はいつものように笑って俺のそばにいればいいんだ」
「……うん」
 泣きながら頷く優里の背中を優しく撫でた。
「それに、お前の帰る場所は俺の家しかない」
「……駅に来て切符買おうとしたの。でも……どこにも行く場所なんてなかった」
 きっとその時すごく途方に暮れただろう。
「今はなくてよかったって思う」
 勝手にどこかへ行かれたら困る。
 優里には悪いが、彼女の居場所が俺のマンションしかないことに安堵した。
「どうして私がここにいるってわかったの?」
 少し落ち着いてきたのか、顔を上げて彼女がそんな質問をしてきた。
「スマホのGPSでわかった」
 俺も身体の力を抜きながらいつもの調子で淡々と答えると、彼女が苦笑いした。

< 218 / 245 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop