女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
「GPSのこと忘れてた。……どこに逃げても玲人くんにはわかっちゃうね」
 彼女が『逃げても』というワードが口にしたものだから思わずスーッと目を細めて聞き返した。
「また逃げる気?」
「に、逃げません。逃げません」
 俺の目が怖かったのか、優里が慌てて否定する。
「親父が言ったことは気にしなくていい。俺が優里を選んだんだ。優里ももっと自信を持つように」
 常々優里を見ていて感じていたことを伝えると、彼女は戸惑いを見せた。
「でも……私は使用人の家族で、玲人くんは雇い主の家族なんだよ。やっぱり気にするよ」
 この古い考え方を改めさせないと、また今後似たようなことが起きるかもしれない。
「俺は一度だってそういう目で見たことない。優里は優里だよ」
 優里の目を見据えてそう告げると、身を屈めて彼女にゆっくりと口付けた。
 もう絶対に逃さない。
 キスを終わらせると、優里の顔が真っ赤になっている。
 初めてじゃないのになにをそんなに赤くなっているのかと思えば、彼女が声を潜めて「玲人くん、周りに人がいる」と恥ずかしそうに言った。
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