女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
 十七年後――。
「木村優里さーん、診察室へお入りください」
 看護師さんに呼ばれ、「はい」と元気よく返事をする。
 今、私がいるのは、自宅アパートから徒歩五分の場所にある小さな診療所。
 木造二階建てで、私が小学生の頃からお世話になっている。
 土曜の休日に診療所に来た目的は病気を診てもらうためではなく、初恋の人に会うため。
 コンコンとノックをして診察室に入ると、目の前に彼……四条玲人がいた。
「どうぞ座ってください」
 パソコン画面を見つめながら彼は私に声をかけた。そのクールな美声を聞いただけで、私の脳がメロメロになる。
 ちょっと癖のあるダークブラウンの前髪を上げて、医師ながら男の色香ムンムンの彼は、私の幼馴染で初恋の人。年は三十二歳。身長は百八十五センチ、顔は彫りが深く端正な顔立ちをしていて、身体は細マッチョ。
 彼は頭脳明晰で都内でも有名な四条総合病院の御曹司だ。
 四条総合病院は大学病院に匹敵する規模で、三十もの診療科を有している大病院。
 世田谷区にあり、優秀な医師も集まっていてとても評判がいい。
 彼は大学卒業後はずっとアメリカの病院に勤務していたのだけれど、この八月に日本に戻ってきた。
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