女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
 自分の生活費以外にも私はおばあちゃんの老人ホームの食費や雑費も毎月払わなければいけない。年金では全部賄えないからだ。
 先のことを考えると頭が痛くなる。
 ダメダメ。ポジティブに考えよう。
 慶子さんが服をくれたから、服代が浮く。その分他に回せるよね。
 そんなことを考えながらシャワーを浴びてリビングに戻ると、玲人くんがソファに座りながら真剣な眼差しでタブレットを見ていた。
「シャワーありがと。なに見てるの?」
 私の質問に、彼はタブレットを見つめたまま答える。
「英語の論文。興味深い術式が載ってて」
「へえ、お医者さんて資格取っても日々勉強だから大変だね」
 タブレットを覗き込むが、専門用語が並んでいてよくわからない。
「人の命を預かる仕事だから、苦には思わない」
 高潔な精神。彼にとって医者は天職なのだろう。私も仕事頑張らないと。
「玲人くんらしいね。明日は仕事あるの?」
「今のところ休み。俺がいなくてもうちのものは適当に使ってくれていいから」

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