女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
 優里の相手をするのも疲れてきてそう命じるが、駄々をこねられた。
「玲人くん、寝すぎて眠れない」
 今日一日こいつに振り回されたのに、まだ言うか。
「……面倒な奴」
 早く黙らせたくて、優里の唇を奪った。
「これで眠れるだろ?」
 余程驚いたのか、彼女が大きく目を見開いたまま動かなくなる。
 俺が優里から離れると、彼女は激しく動揺しながら理由を問う。
「……な、な、なんでキス?」
「ショックですぐに黙って寝ると思って」
 平然とそう返せば、彼女が恨みがましい視線を向けてきた。
「……余計眠れないよ」
 優里はボソッと文句を言って、俺に背を向け、布団を被る。
 そのまま静かになる彼女の横でタブレットをまた見ていたら、しばらくしてスーッと規則正しい寝息が聞こえてきた。
「ホント、世話の焼ける」
 優里の方に目を向け、ハーッと息を吐く。
 今日彼女が先週と同じように診療所に現れた時は、また俺の顔を見に来たのかと思った。 だが、顔色も悪いし、様子もおかしい。
『もう診察終わったし、送ってく』

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