女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
『うん。私の両親の保険金使った。おばあちゃん、もうひとりでは動けないから、預けるしかなかった』
 両親の保険金か。祖母のために使うところが彼女らしい。
 本当は自分の進学や住居費に当てたかったのではないだろうか。
 アメリカにいた時、姉から優里は奨学金制度を利用して大学に通っているという話を聞いたことがある。
 恐らく自分は奨学金を返済しながら働いているのだろう。
 彼女に仕事のことも聞いたが、いい職場環境とは言えない会社のようだった。
 優里のアパートを見た時は、アメリカに行った時よりもカルチャーショックを受けた。
『……倉庫じゃないよね? しかもこの騒音……』
 古ぼけたアパート。部屋はうちの玄関ほどの広さで、住人もガラの悪い男が多い。
 アパートの玄関で優里が倒れた時、彼女の部屋に寝かせようとも考えたが、隣の部屋の騒音があまりに煩くて置いておけなかった。
 あんな部屋に住んでいたら、眠れないのも当然だ。
 仕方がないから俺の同僚を呼んで、彼女をうちに運ぶのを手伝ってもらった。
 
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