女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
かなり体調が悪かったのか、優里はうちに連れて来ても気を失ったままだった。
 もし俺がいなかったら大変なことになっていたかもしれない。
 彼女はひとり暮らしで、唯一の家族である祖母は現在老人ホームにいる。穏やかで優しい人で、孫の優里に対しても怒ったところを見たことがなかった。そんなふたりが支え合って生きていく様を、俺たち家族はそばで見ていた。
 両親がいないから、優里は祖母と一緒に俺の実家の離れに住み、学校が終わると祖母の仕事を手伝っていて……。
 小さいのに偉いなって、口には出さなかったが思っていた。
 優里の祖母は俺の実家の家事を担当していて、彼女はよく祖母と一緒にキッチンにいた。
 野菜の下ごしらえをしているふたりを眺めながらリビングで読書をした日々。
 優里に付きまとわれるのは嫌だったが、祖母と孫のほのぼのとしたやり取りを聞くのが好きだった。とても穏やかで心が安らぐ時間だったのだ。
 うちの母親はお嬢さま育ちで料理が一切できなかったから、俺も姉も優里の祖母の料理を食べて育ったと言っても過言ではない。
 
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