女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
「今日はどこが悪いんですか?」
 パソコン画面から顔を上げて私を見る玲人くんの顔は無表情。
「先週玲人くんに再会してからずっと胸が痛いんです」
 胸に手を当てて症状を訴えたら、彼がその美しい顔を顰めた。
「佐藤さん、次の患者さん呼んで」
 私の言葉をスルーして、玲人くんはそばにいた看護師さんに命じる。
「ちょっ……私だって患者よ。無視しないでよ、玲人くん」
 慌てて文句を言うと、彼がスーッと目を細めて私を見た。
「どこが患者なのかな? 遊びに来ているようにしか見えないけど」
 まあここに来た第一の目的は玲人くんの顔を拝むことだけれど、身体に不調があるのも事実。
「最近夏バテなのか食欲不振で……。あと夜眠れないからまた睡眠導入剤を処方してくれないかな?」
「睡眠導入剤は先週処方したばかりだが、もう使い切ったの?」
 鋭い質問が来て、へらへら笑いながら答える。
「一錠じゃ足りなくて二錠飲んだりしてたらなくなっちゃった」
 やはり二錠飲んだのはマズかっただろうか。彼の表情がなんとなく険しい。

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