女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
 だから、優里の祖母にはとても感謝しているし、優里ことも放っておけない。
 優里が困っていれば手を差し伸べるのは当然だ。と言っても、彼女は決して俺に助けは求めない。
 なので、俺が強引に事を運ぶ必要がある。
 あのアパートに住まわせるわけにはいかない。
 そう思って、優里が寝ている間に学会が終わって東京に戻ってきた姉に連絡をして、うちに来てもらった。
『まだ体調が万全じゃないから休ませてる。起きたら、姉貴のところでしばらく優里を預かってくれないか?』
 漆黒の長い巻き髪に、真っ赤なルージュ。
 全身を黒でまとめ颯爽と俺のマンションの玄関に現れた姉に単刀直入に言うと、間髪入れずに冷たく断られた。
『嫌よ』
 いつも我儘で傍若無人な姉だが、優里のことはかわいがっているからてっきり引き受けてくれると考えていた。
『は?』
 思わず顔を顰めて姉を見据えれば、彼女は自分勝手な発言をする。
『優里ちゃんの事情はよーくわかったわ。でも、私は新婚なの。あんたが責任持って最後まで面倒見なさい。邪険に扱ったら許さないわよ。優里ちゃんは私の妹同然なんですからね』
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