女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
「とりあえず胸の音聞かせて」
 玲人くんが聴診器を手に持ったので、服を脱ごうとしたら強く止められた。
「脱ぐ必要はない」
「玲人くんのためなら頑張って脱ぐのにな」
 残念に思ってそう言い返したら、能面顔で怒られた。
「黙れ」
 聴診器を当てられ、思わずドキッとする。
 非の打ち所のない綺麗な顔。
 まつ毛が長くて……羨ましい。彼のせいで心拍数が上がっているかも。
「胸の音は若干速いが問題ない。食欲不振の方は薬も出すけど、一度にそんなに食べられなければ、食事の回数増やしてみて。あと睡眠導入剤は一カ月分出しておく。必要がなければ飲まなくていいから」
 医者らしい言葉を淡々と口にする彼に、ニコッと笑って礼を言う。
「ありがとう」
「一週間分でいいとか言わないんだね。また来る口実になったのに」
 彼の指摘を聞いて、ポンと自分の手を打つ。
「ああ。その手があったか。やっぱ一週間分でいいです」
 そうお願いするが、冷たく却下された。
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