女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
 玲人くんが珍しく焦った様子で聞いてきて、涙を堪えながら否定した。
「ううん」
《今、どこににいる?》
「会社の近くの……コンビニの前」
《そっちに向かってるからコンビニの中で待ってて。あと十分で着く》
「……うん」
《電話は切らずにおくから。もう大丈夫だから》
 彼の言葉を聞いて、少しホッとした。
「うん」と返事をすると、スマホを耳に当てたままコンビニの中に入った。
 雑誌売り場に行き、前の道路を見つめる。
 玲人くん、お願いだから早く来て。
 部長がここに来て連れ戻されたら……そんな不安に襲われる。
《優里、今日はなに食べた?》
この緊迫した状況で彼にそんな質問をされ、戸惑った。
「え? おにぎりとゼリー飲料」
《……それじゃあガリガリになるよ》
呆れるような声で言われたけど、その声はどこか優しくもあって、彼が私を落ち着かせようとしているのがわかった。
「そういう玲人くんはなに食べたのよ?」
《朝は時間なくてチョコバー、お昼は院内のカフェでホットサンド、夜は……まだ食べてなかったな》
「玲人くんもガリガリになっちゃうよ。私より身体大きいのに」
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