女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
「手首の痣は一週間くらいで消えると思うけど、念のためテーピングしておく」
「うん。ありがと」
 テーピングで手の痣が見えなくなって、少し気分が楽になった。
「テーピングがはがれたら言って。俺が直すから」
「大丈夫だよ。自分で直せるから」
 平気な振りをしても彼には私の心はお見通しのようで……。
「痣、見るのつらいだろ?」
「……ありがと。あの……シャワー浴びてきていい?」
 礼を言ってソファから立ち上がろうとしたら、彼に止められた。
「待って。唇……酷いな」
「ちょっと噛んじゃって」
 玲人くんが私の唇に触れてきてドキッとした。
「軟膏塗っておく。……なるべく舐めないで」
 薬を塗られる間ずっと息を止めていて苦しくなる。
「……ありがとう」
 息を大きく吸いながら礼を言ってバスルームに逃げ込む。
 今の自分をあまり玲人くんに見られたくなかった。
 なんだか汚れているような気がしたのだ。
 服を脱いでシャワーを浴びるが、何度身体を洗っても部長の酒臭い息や手の感触を感じる。
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