女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら～17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます～

名前を呼ぶと、彼女はしゃくり上げながら「だ、大丈夫」と口にする。
「泣いてるのに、大丈夫なんかじゃないだろ？　もうあの会社には行かなくていい」
　そっと優里の頭に触れて優しく言い聞かせると、彼女は精神的にもダメージを受けたせいか、今となってはどうでもいい話をする。
「でも……私、パソコンの電源落として……ないの」
　仕事のことより、もっと自分のことを気にしろよ。
「そんなの気にしなくていい。もうなにも心配しなくていい」
　優里を抱いてその頭を撫でてやると、彼女が声を上げて泣く。
　ひとりでじっと耐えられるよりは、俺の前で泣かれた方がずっといい。
　心の不安を全部俺に吐き出せ。何時間かかろうと付き合ってやるから。
　どれくらいそうしていたのだろう。
　優里が落ち着いてくると、抱擁を解いて彼女の濡れた髪をドライヤーで乾かした。
「着替えは？」
　バスタオルを巻きつけたままなのが気になって彼女に問うと、「……忘れた」と抑揚のない声で答える。
　まあ普通の状態じゃないのだから仕方がない。
　優里を抱き上げると、寝室のベッドに運び、とりあえず俺のＴシャツを着せた。