女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
「ちょっと待ってて」
 どこか虚ろな表情の優里にそう声をかけて、キッチンでホットミルクを作り、寝室へ戻る。
「これ飲んで。少しは落ち着くから」
 ミルクの入ったマグカップを渡すと、彼女がポツリと呟いた。
「……お酒の匂いがする」
「香り付けにブランデーを入れただけだから酔わないよ」
 俺の説明をカップを見つめたまま聞くと、彼女は「ありがと」と礼を言って一口口にする。
「……甘くて美味しい」
 小さく笑う彼女を見て少し、安堵した。
「それはよかった」
「玲人くんがホットミルク作ってくれるなんて滅茶苦茶貴重だね。これ永久保存したい」
 カップをとても愛おしそうに見つめる彼女に呆れ顔で言った。
「そんなことしたら腐る。残さず飲めよ」
「うん。スマホで写真撮っておけばよかった」
 とても残念そうに言うものだから、柄にもないことを口走ってしまう。
「大袈裟な。飲みたければまた作るよ」
「約束だよ」
 優里が嬉しそうに笑うから、なんだか照れくさくなって「ああ。但し一回だけ」と付け加えた。
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