女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
「ケチ。でも、一回だけでも嬉しい」
 今まであまり構ってやらなかったせいか、俺の言葉を聞いてもフフッと笑う彼女を見て複雑な心境になる。
「やけに聞き分けがいいね。もっとブーブー文句言うかと思った」
「豚じゃないですよ。人間です」
 優里がむきになって訂正してきたのでからかった。
「そうなんだ。ずっと豚かと思ってた」
「あっ、酷い。こんなにプリティーな豚がいる?」
「自分で言うか? 最近ペットで飼われてる豚はかわいいらしい。どっちが本当にかわいいか飼って比べてみようか?」
 クスッと笑ってスマホを出してかわいい豚の画像を見せると、彼女が急にトーンダウンする。
「うっ、かわいい。……遠慮します。絶対豚の方がかわいいって玲人くん言いそう。そしたら豚に嫉妬するかも。ああ、私も豚になりたいって」
 優里節が戻って来たので、素っ気なく言い返した。
「豚に嫉妬してどうする? もう寝ろ」
 優里の手からマグカップを奪うと、部屋の照明を暗くして彼女に布団を掛けてやる。
「おやすみ」
「おやすみなさい。……今日はありがと」
 優里は俺の目を見てそう言い、ゆっくりと目を閉じた。
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