女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら～17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます～

　マグカップを持って寝室を出ると、キッチンへ行く。
　そういえば夕飯食べてなかったな。
　レンジで冷凍のパスタを温めて、キッチンに立ったまま口にする。
　行儀が悪いが、時間がない時は立ったまま食事を済ませることが多い。
　腕時計に目をやると、もう午前三時を過ぎていた。
「俺も寝ないと……」
　素早くシャワーを浴びて、優里の様子を見に寝室へ戻ろうとしたら、彼女の声がした。
「……や、嫌！」
　慌てて寝室に入ると、優里が手足をバタバタさせていて……」
「優里！」
　俺もベッドに上がり、彼女の身体を押さえる。
「嫌！　来ないで！」
　まだ暴れる彼女に必死に言い聞かせた。
「優里、目を覚ませ！　お前を襲う者はもういない」
「嫌！」
　目を閉じたまま首を左右に振って激しく抵抗する彼女を、なんとか傷つけないように押さえつけて命じる。
「優里、目を開けて俺を見ろ！」
「い、嫌！」
　恐怖に怯えて身体を震わせている彼女に今度は優しく言った。
「優里、俺を見て」
「玲人……くん？　……部長は？」
　目を開けて俺を見た優里は記憶が混乱しているのか、ハッと驚いた顔をする。