女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
「夢を見たんだ。ここに部長はいないし、もう会うことはない」
「……本当に会わない?」
 怯える目で確認してくる彼女に向かって小さく頷いた。
「会わない。だから、安心して眠ればいい」
 コツンと彼女の額に自分の額を当てると、彼女が「うん」と返事をして目を閉じる。
 優里の隣に横になると、しばらく彼女の様子を見ていた。
 あんな怖いことがあったのだから、普通に眠れるわけないか。
 またしばらくはうなされるかもしれないな。
 スーッと寝息が聞こえてひと安心していたら、彼女が俺に抱きついてきて、ハッと息を飲み込んだ。
 いつもの俺だったら、「寝ぼけないでくれる?」と彼女を起こして注意したかもしれないが、今の彼女にできるわけがない。
「今夜は仕方がない」
 自分にそう言い聞かせて、目を閉じた。
 優里の心臓の音が聞こえる。
 落ち着かなくて一睡もできないと思ったが、その夜は疲れていたのかすぐ寝入ってしまった。
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