女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
「私の命令だって言えば、華江さんも怒らないわよ」
 優しい奥さまは茶目っ気たっぷりに笑う。
「……はい。では、美代子さん、あの玲人くんに一時的に保護してもらいましたが、体調がよくなったらすぐにここを出ていきますので」
 居座ることはないとしっかりお伝えしなくては。
「そんなのダメよ」
 奥さまに間髪入れずに反対され、言葉に詰まった。
「で、ですが玲人くんに迷惑が……」
「あの子、心配はしても迷惑だなんて思わないわよ。そう思ってるなら、自分のマンションに優里ちゃんを連れてこないわ。私がちょっと来るだけでも眉間にシワ寄せて嫌そうな顔するんだから」
 実の母親にもそんな反応なら、かなり私は好待遇を受けている。だけど、それは私が窮地に陥ってるからだ。
「私も普通に元気だったら家の住所も教えてくれなかったと思います」
 クスッと笑ってフォローしたら、奥さまが悪戯っぽく目を光らせた。
「あの子、ホント冷たいのよね。でも、優里ちゃんのことは大事に思ってると思うわ。もうこのまま玲人と優里ちゃんが結婚してくれないかなって思うのよ」

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