聖母のマリ子
このところ聖母の休憩時間に合わせて仕事を抜けるのが日常化していたが、その日は会議が長引いて抜けることができなかった。
ようやく会議を終えて時間を確認すると、聖母が休憩に入って間もない時間。
せっかくだから会いに行こう‥‥そう考えた俺は、気分転換に散歩に出たという聖母を追って庭園に向かった。
聖母のそばには護衛がいて、背が高く体格のいいその護衛のおかげで彼女をすぐに見つけることができた。声をかけるために近づくと2人の会話が聞こえてくる。
「ブルーノも結婚するつもりはあるんでしょ?今好きな人とかはいないの?」
「俺は嫡男じゃないから絶対に結婚しなきゃいけないってわけでもないんですよ。まあいい子がいれば、とは思いますけど‥‥」
「どんな子がタイプなの?てか、これまで付き合った子は?どういう感じ?」
「マリコ様、また結婚してって言うのはナシですよ?」
「違うよ!私はただブルーノの恋愛観を知りたいだけなの!」
「‥‥‥‥恋愛観?」
「そう。ブルーノが好きな子にどんなアプローチをするのかとか、どんな風に愛を囁くのかとか、そういうのが知りたいの!」
「なんでまたそんなこと‥‥」
「だって!こんなこと聞けるのブルーノしかいないんだよ!本当はもっと込み入った話がしたいんだけど‥‥まあそれは追々‥‥」
「な、なんか怖いな‥‥」
「大丈夫!怖くないよ!私のこと好きな子だと思って口説いてみて?ほら!ほら!」
「いや、怖いですって!勘弁して下さいよー」
「怖くないから!お願い!ちょっとだけ!」
逃げる護衛とそれを追い詰める聖母‥‥決して甘いムードではない。だが2人が親しい間柄であるのは間違いないだろう。俺はそれを気にくわないと感じた。
そういえばあの護衛は神殿の庭園で聖母に結婚を迫られていた。あの時も今と同じように冗談交じりで甘い雰囲気ではなかったが‥‥まさか聖母はあの護衛のことが好きなのか?
駄目だ。そんなこと、絶対に許さない。
彼女は俺のものだ。他の奴には渡さない。
俺は聖母に声をかけずにそのまま庭園をあとにして、王宮に用意されている聖母の部屋へと向かった。扉を開けると次の授業のための準備をしているのか数人の侍女が控えていた。
「この後の予定を変更してもらいたい。急ぎではないので休憩後で構わないが、聖母殿に話があるのでここで待たせてもらう。授業の中止を手配したら、声をかけるまでは部屋に誰も近づかせないで欲しい」
ようやく会議を終えて時間を確認すると、聖母が休憩に入って間もない時間。
せっかくだから会いに行こう‥‥そう考えた俺は、気分転換に散歩に出たという聖母を追って庭園に向かった。
聖母のそばには護衛がいて、背が高く体格のいいその護衛のおかげで彼女をすぐに見つけることができた。声をかけるために近づくと2人の会話が聞こえてくる。
「ブルーノも結婚するつもりはあるんでしょ?今好きな人とかはいないの?」
「俺は嫡男じゃないから絶対に結婚しなきゃいけないってわけでもないんですよ。まあいい子がいれば、とは思いますけど‥‥」
「どんな子がタイプなの?てか、これまで付き合った子は?どういう感じ?」
「マリコ様、また結婚してって言うのはナシですよ?」
「違うよ!私はただブルーノの恋愛観を知りたいだけなの!」
「‥‥‥‥恋愛観?」
「そう。ブルーノが好きな子にどんなアプローチをするのかとか、どんな風に愛を囁くのかとか、そういうのが知りたいの!」
「なんでまたそんなこと‥‥」
「だって!こんなこと聞けるのブルーノしかいないんだよ!本当はもっと込み入った話がしたいんだけど‥‥まあそれは追々‥‥」
「な、なんか怖いな‥‥」
「大丈夫!怖くないよ!私のこと好きな子だと思って口説いてみて?ほら!ほら!」
「いや、怖いですって!勘弁して下さいよー」
「怖くないから!お願い!ちょっとだけ!」
逃げる護衛とそれを追い詰める聖母‥‥決して甘いムードではない。だが2人が親しい間柄であるのは間違いないだろう。俺はそれを気にくわないと感じた。
そういえばあの護衛は神殿の庭園で聖母に結婚を迫られていた。あの時も今と同じように冗談交じりで甘い雰囲気ではなかったが‥‥まさか聖母はあの護衛のことが好きなのか?
駄目だ。そんなこと、絶対に許さない。
彼女は俺のものだ。他の奴には渡さない。
俺は聖母に声をかけずにそのまま庭園をあとにして、王宮に用意されている聖母の部屋へと向かった。扉を開けると次の授業のための準備をしているのか数人の侍女が控えていた。
「この後の予定を変更してもらいたい。急ぎではないので休憩後で構わないが、聖母殿に話があるのでここで待たせてもらう。授業の中止を手配したら、声をかけるまでは部屋に誰も近づかせないで欲しい」