聖母のマリ子
魔力の放出
結婚式を無事に終え、馬車に乗って神殿の敷地を出ると‥‥道が人で溢れかえっていた。
「今日は宮殿前の広場が一般開放されてるんだが、そこに入り切らなかった人達が美しいお姫様をひと目見ようと集まってるんだよ」
自分のことを美しいお姫様とは思っていないし、この人達が王族の結婚を祝福するために集まっていることはわかっている。
その言葉を鵜呑みにしたわけではないが、喧騒の中で声を聞かせるために突然耳元へ顔を近づけられたせいで、思わず照れてしまった。
「ああ、マリコ‥‥私のお姫様。君は世界一かわいい。愛してるよ」
顔を赤くしたせいでエドの溺愛スイッチを押してしまい、パレード中に沢山の国民に見守られながら、顎クイからの熱烈なキッスをお見舞いされた。
衆人環視にさらされているせいなのかエドのマーキング欲も高まっていたようで、それはパレード中何度も繰り返され、広場に集まった国民への挨拶の際にも惜しみなく披露された。その様子に国民達は大喜びで盛り上がり、みなが私達の結婚を大いに祝福してくれたのだった。
「疲れた‥‥もの凄く疲れた。なんていうか、魂が抜けかけてる気がする‥‥」
「そうですね‥‥確かにいつもより魔力の放出が多いかもしれません。大司教様に報告して相談してみます。とりあえず回復の魔法をかけておきますので、マリコ様は午後からのパーティーに備えて少しお休み下さい」
半分冗談で言ったつもりだったのに、ジュリアに真顔で魔力の心配をされてしまった。
このだるさはエドによる公開処刑で精神的なダメージを受けたせいだと思っていたが、魔力の消費が原因だったらしい。無意識でたれ流してるから制御は不可能だし、それが事実なら対処のしようがない。
午後からは貴族や他国の王族を相手にしなくてはいけないのだから、私にとってはむしろここからが本番といえる。
私が聖母であることは発表されておらず、私は『異世界から来たエドアルド王子の運命の女性』という、なんとも怪しい存在として認識されている。こんな怪しい設定も『予言』のひと言であとは適当にぼやかせるのだから、異世界は本当にチョロい。
でも貴族や王族を相手にするのは一筋縄ではいかないそうで、エドや大司教に任せておけばいいとは言われているものの、直接話す機会がある限り何があるかはわからないのだ。
魔力不足でヘロヘロの状態では、付け入る隙があり過ぎてしまうじゃないか‥‥
「今日は宮殿前の広場が一般開放されてるんだが、そこに入り切らなかった人達が美しいお姫様をひと目見ようと集まってるんだよ」
自分のことを美しいお姫様とは思っていないし、この人達が王族の結婚を祝福するために集まっていることはわかっている。
その言葉を鵜呑みにしたわけではないが、喧騒の中で声を聞かせるために突然耳元へ顔を近づけられたせいで、思わず照れてしまった。
「ああ、マリコ‥‥私のお姫様。君は世界一かわいい。愛してるよ」
顔を赤くしたせいでエドの溺愛スイッチを押してしまい、パレード中に沢山の国民に見守られながら、顎クイからの熱烈なキッスをお見舞いされた。
衆人環視にさらされているせいなのかエドのマーキング欲も高まっていたようで、それはパレード中何度も繰り返され、広場に集まった国民への挨拶の際にも惜しみなく披露された。その様子に国民達は大喜びで盛り上がり、みなが私達の結婚を大いに祝福してくれたのだった。
「疲れた‥‥もの凄く疲れた。なんていうか、魂が抜けかけてる気がする‥‥」
「そうですね‥‥確かにいつもより魔力の放出が多いかもしれません。大司教様に報告して相談してみます。とりあえず回復の魔法をかけておきますので、マリコ様は午後からのパーティーに備えて少しお休み下さい」
半分冗談で言ったつもりだったのに、ジュリアに真顔で魔力の心配をされてしまった。
このだるさはエドによる公開処刑で精神的なダメージを受けたせいだと思っていたが、魔力の消費が原因だったらしい。無意識でたれ流してるから制御は不可能だし、それが事実なら対処のしようがない。
午後からは貴族や他国の王族を相手にしなくてはいけないのだから、私にとってはむしろここからが本番といえる。
私が聖母であることは発表されておらず、私は『異世界から来たエドアルド王子の運命の女性』という、なんとも怪しい存在として認識されている。こんな怪しい設定も『予言』のひと言であとは適当にぼやかせるのだから、異世界は本当にチョロい。
でも貴族や王族を相手にするのは一筋縄ではいかないそうで、エドや大司教に任せておけばいいとは言われているものの、直接話す機会がある限り何があるかはわからないのだ。
魔力不足でヘロヘロの状態では、付け入る隙があり過ぎてしまうじゃないか‥‥