聖母のマリ子
 パーティーが終了し、またまた衣装チェンジの時間。今日三度目の熱血侍女タイムである。

 だるさはないが、早朝から動き出しているせいでさすがに疲労困憊、眠気も凄い。

「マリコ様!あともうひと踏ん張りです!晩餐会が終わればコルセットを外せます!」

「おお!その言葉はテンション上がるな!一刻も早くコルセットから開放されたい!よし!早く着替えて晩餐会を終わらせよう!」

 熱血侍女にうまいこと乗せられ着替えを済ませた後は、念のため大司教に魔力の状態を見てもらった。私が魔力を放出していることをエドは知らないので、万が一に備える必要がある。

「魔力の過剰な放出が今は止まっているようです。ダンスを踊られていた際に多量の魔力が放出され、それ以降は問題なかったとジュリアから報告を受けておりますが‥‥何か自身でお気づきになったことはございますか?」

「いや、眠いせいで疲労感はあったけどそれは単純に寝不足なだけだろうし、息苦しさは絶対コルセットのせいだと思う。それ以外は特に何も感じてないかな?」

「そうですか‥‥このまま今日を乗りきれればいいのですが‥‥くれぐれも無理はなさいませんように。念のため、追加でポーションによる回復をしておきましょう」

 言われた通りポーションを飲み、ジュリアに再度回復魔法をかけてもらって疲労もだいぶ軽減した。

 晩餐会は歓談の時間にもよるだろうが大体2時間を予定している。基本的に席を立つことはなく、隣の席にいる人との会話がメインとなるため、予習はバッチリしてあるので多分大丈夫だろう。

 魔力の大放出はやっかいだが、ポーションで補充もしたことだし、2時間くらいならきっとなんとかなる。

 それよりも今は、少しでも早くコルセットを外したい!私に足りないのは、魔力じゃなくて酸素だ!

 ‥‥‥‥晩餐会は滞りなく終了した。大司教達の心配をよそに、私の敵は魔力の放出ではなくやはりコルセットだった。

 古くから親交があるという隣国の王太子夫妻とは楽しく会話できたのだが、マナー的に食事に手をつけないわけにもいかず、冗談抜きで死ぬかと思った。

 ここにいる女性達は何故平気な顔で食事をしているのか‥‥その秘密が王妃教育に組み込まれていないことに疑問を投げかけたい。

 全てを終えて部屋に戻ったのは10時過ぎ。

 コルセットを外せるなら全裸をさらしても構わない!って程ギリギリの状態だったが、ちゃんと部屋まで我慢した私を誰か褒めて欲しい。
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