聖母のマリ子
「発情で魔力が放出‥‥そんな話、聞いたことないが‥‥」

「昨日マリコ様が魔力を放出したタイミングはハッキリとしておりませんが、この予測に基づくなら発情の要因は‥‥パレード中や宮殿のバルコニーで多くの人に見守られながら殿下に口づけをされたこと‥‥パーティーの際に殿下と近い距離でダンスを踊ったこと‥‥閨でのことに関してはみなまで言う必要もないでしょう。貴族や王族と歓談していた際には放出が起こらなかったことが、この予測の裏付けになるかと思われます」

 これ‥‥私が立ち会わなくちゃいけないやつですか?さっきから恥ずかし過ぎて卒倒しそうなんですけど?

「発情で魔力が放出されるというなら、私はどうしたらいいんだ?このままではマリコを愛せないということか?」

「ハッキリとは申せませんが‥‥ジュリアの報告によりますと、今朝は魔力が半分程消費されていたそうです。昨夜は夜半から朝方までお励みになられたと伺っております。そう考えると消費が少ない‥‥失礼ながら、殿下は精をいかほどマリコ様に注がれましたか?あ、もちろん胎内に、という話です」

「‥‥‥‥ハッキリとは覚えてないが‥‥3回、いや4回か?」

「念のため確認致します。外への放出は?」

「‥‥‥‥あった」

「いかほど?正直にお願い致します」

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥4~5回‥‥‥‥だろうか」

 殿下‥‥あんた昨日どんだけ出したのよ‥‥

「なるほど‥‥マリコ様は殿下の精を魔力に変換させている可能性があるかもしれません。その場合、所要時間や回数に応じて正しく精を注げば、放出と同量の魔力が補填されることになるかと存じます」

 ジャンさんのその言葉に、エドはもちろんのこと、私の魔力不足を心配していたジュリアもほっと息を吐いたことに気がついた。

 死ぬ程恥ずかしい思いをしたけど、魔力放出の原因がわかったことは間違いなく良かった。

 それにそもそも何故魔力が放出されているのかもこれをきっかけにして解明できるかもしれないのだ。

 ただこれはあくまでも予測であり、しばらくは経過観察が必要だとのことだった。

 つまり、さっきエドが受けていたあり得ない程恥ずかしい質疑応答をしばらく続けなければいけない、ということだ。

 私は絶対にごめんだ。これに関してはエドに全てお任せしよう。それが嫌なら常識の範囲内におさめるべきなのだ。

 てかそれがなくてももっともっと控えめでいいと思うの。多分私の感覚は狂っていないと思うんだけど、相談できる相手がいなくて、真実は常に闇の中。

 恋ばなのできるお友達が欲しい。切実に。
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