聖母のマリ子
産後間もなくまだ体調が戻りきっていないはずのベニーは、おそらく落ち込む私を励ますためだけにわざわざ王宮まで足を運んでくれたのだろう。
「マリコ様、赤ちゃんて本当に不思議なんですよ?まだこんなに小さくて自分じゃ何もできないくせに、それでもちゃんと人間で、色々なことがわかってるんです」
ペニーは私の隣に腰をおろして赤ちゃんを愛でながら話を続ける。
「この子、私が元気がなかったり体調が悪かったりすると泣いてぐずって本当に手がかかるんです。逆に私が嬉しかったり楽しかったりして笑ってるとご機嫌になる。多分赤ちゃんはママが悲しいと悲しくなるし幸せだと幸せになるんです。マリコ様が前の世界に残してきてしまった赤ちゃんもきっと同じですよ?だってママと赤ちゃんは強い絆で結ばれてるんですから。マリコ様が赤ちゃんを思って泣いていたらその赤ちゃんもマリコ様を思って泣いています。マリコ様が幸せを感じて笑っていたら赤ちゃんも幸せで笑っています。マリコ様がその赤ちゃんの幸せを願うなら、マリコ様は幸せじゃなきゃ駄目なんですよ?」
あの子のためにできることがあるなら、私はどんなことでもしてあげたい‥‥この世界に来てから私はいつもそう思っていたのだ。でもどんなに考えたところで私にできることなんて何もなく、後悔ばかりが募っていった。
ペニーの言葉で、私にもあの子にしてあげられることがあるんだとはじめて感じることができた。
私とあの赤ちゃんが強い絆で結ばれている根拠なんて何もない。だけど私はペニーの言葉にすがりたいと思った。
「ペニー!ありがとう!私、あの子のためにもこれから産まれてくるこの子のためにも、絶対に幸せになる!」
「はい!マリコ様は絶対に幸せになります!私がついてますから!絶対確実ですよ!」
そうだ。私には私のことを心配して支えようとしてくれる人達が沢山いる。ジュリア、大司教、ブルーノ、ペニー‥‥ジャンさんだってあれでも私のことを心配したから妊娠できる方法を考えてくれたのだ。
そしてエド‥‥他の誰よりも私の幸せを願ってやまない私の愛する夫。
赤ちゃんのために、支えてくれる人達のために、そして愛する夫エドのために。私は泣くのをやめて、これから幸せになることだけを考えて生きていこう。
私はやっと前世の呪縛から解放された。
出産まであともう少し。死への恐怖が完全に消えたわけではなかったが、もう大丈夫。
私には私の幸せを願ってくれている人達が沢山いるのだ。
「マリコ様、赤ちゃんて本当に不思議なんですよ?まだこんなに小さくて自分じゃ何もできないくせに、それでもちゃんと人間で、色々なことがわかってるんです」
ペニーは私の隣に腰をおろして赤ちゃんを愛でながら話を続ける。
「この子、私が元気がなかったり体調が悪かったりすると泣いてぐずって本当に手がかかるんです。逆に私が嬉しかったり楽しかったりして笑ってるとご機嫌になる。多分赤ちゃんはママが悲しいと悲しくなるし幸せだと幸せになるんです。マリコ様が前の世界に残してきてしまった赤ちゃんもきっと同じですよ?だってママと赤ちゃんは強い絆で結ばれてるんですから。マリコ様が赤ちゃんを思って泣いていたらその赤ちゃんもマリコ様を思って泣いています。マリコ様が幸せを感じて笑っていたら赤ちゃんも幸せで笑っています。マリコ様がその赤ちゃんの幸せを願うなら、マリコ様は幸せじゃなきゃ駄目なんですよ?」
あの子のためにできることがあるなら、私はどんなことでもしてあげたい‥‥この世界に来てから私はいつもそう思っていたのだ。でもどんなに考えたところで私にできることなんて何もなく、後悔ばかりが募っていった。
ペニーの言葉で、私にもあの子にしてあげられることがあるんだとはじめて感じることができた。
私とあの赤ちゃんが強い絆で結ばれている根拠なんて何もない。だけど私はペニーの言葉にすがりたいと思った。
「ペニー!ありがとう!私、あの子のためにもこれから産まれてくるこの子のためにも、絶対に幸せになる!」
「はい!マリコ様は絶対に幸せになります!私がついてますから!絶対確実ですよ!」
そうだ。私には私のことを心配して支えようとしてくれる人達が沢山いる。ジュリア、大司教、ブルーノ、ペニー‥‥ジャンさんだってあれでも私のことを心配したから妊娠できる方法を考えてくれたのだ。
そしてエド‥‥他の誰よりも私の幸せを願ってやまない私の愛する夫。
赤ちゃんのために、支えてくれる人達のために、そして愛する夫エドのために。私は泣くのをやめて、これから幸せになることだけを考えて生きていこう。
私はやっと前世の呪縛から解放された。
出産まであともう少し。死への恐怖が完全に消えたわけではなかったが、もう大丈夫。
私には私の幸せを願ってくれている人達が沢山いるのだ。