聖母のマリ子
聖母の魔力
ジュリアの話ではこの世界の食べ物には魔力が含まれていて、それを口にすることで魔力が蓄積し、馴染み、次第に魔法を使えるようになるのだという。
「ですがマリコ様から感じられる魔力は、私共のそれとは少し異なっているようです」
「どういうこと?」
「通常取り入れた魔力は魔法として放出しない限り体内で蓄積されます。ですが、マリコ様からは魔力が放出され続けているように感じられるのです。まだほんのわずかなのではっきりとは申し上げられないのですが‥‥」
「え?それだと魔力貯まらなくない?私、いつまでも魔法使えないかも?」
「マリコ様のお世話は私が責任を持って務めさせて頂きますので、ご心配にはおよびません」
「いやいや、そういう問題じゃなくてね?ジュリアがいなくても自分のことくらい自分でできるようになりたいじゃない?」
「マリコ様に限らず、国の為に魔力を使われる方には、総じて身の回りのお世話をする者がついております」
「いや、私の出してる魔力が国の為になってるかなんてわからないじゃない‥‥」
「ご心配なさらずとも聖母であらせられるマリコ様の魔力は間違いなく国の為になっていると思われます。ですが、一度鑑定を受けてみてもよろしいかもしれませんね?」
その日、早速大司教との面会が決まり、見覚えのある場所に来ていた。
この世界で初めて目を覚ました時に私が教会だと思ったのは、神殿の大聖堂だった。
改めて訪れたその場所は荘厳でただひたすらに美しく、そこにいるだけで魂が浄化されるような不思議な感覚をしばし味わう。
「マリコ様、お待たせして申し訳ありません」
少しして、大司教がやってきた。
「ほう、ジュリアから報告は受けておりましたが‥‥確かに魔力が放出されているようですな」
大司教はそう言いながら私の手をとり、そのまま祭壇へといざなった。
そこには水を張った盆が用意されており、大司教が聞き慣れない言葉を呟きそこに手をかざすと、盆の中の水がほんのりと光を帯びた。
「マリコ様、手を水に浸けて頂けますか?」
言われるまま水に手を伸ばし、指先が水に触れた瞬間‥‥まばゆい程の光が辺りを照らした。
「綺麗‥‥」
光の中で揺れる水面が七色に輝いているのを見て、思わず呟いた。大司教も食い入るように水面を見つめる。
「ああ、なるほど‥‥」
私には見えない何かが見えているのか、大司教は揺れる七色の光を目で追いながら、ひとりごちた。
しばらくすると光は失われ、静寂の後‥‥大司教は鑑定の結果を語り出した。
「ですがマリコ様から感じられる魔力は、私共のそれとは少し異なっているようです」
「どういうこと?」
「通常取り入れた魔力は魔法として放出しない限り体内で蓄積されます。ですが、マリコ様からは魔力が放出され続けているように感じられるのです。まだほんのわずかなのではっきりとは申し上げられないのですが‥‥」
「え?それだと魔力貯まらなくない?私、いつまでも魔法使えないかも?」
「マリコ様のお世話は私が責任を持って務めさせて頂きますので、ご心配にはおよびません」
「いやいや、そういう問題じゃなくてね?ジュリアがいなくても自分のことくらい自分でできるようになりたいじゃない?」
「マリコ様に限らず、国の為に魔力を使われる方には、総じて身の回りのお世話をする者がついております」
「いや、私の出してる魔力が国の為になってるかなんてわからないじゃない‥‥」
「ご心配なさらずとも聖母であらせられるマリコ様の魔力は間違いなく国の為になっていると思われます。ですが、一度鑑定を受けてみてもよろしいかもしれませんね?」
その日、早速大司教との面会が決まり、見覚えのある場所に来ていた。
この世界で初めて目を覚ました時に私が教会だと思ったのは、神殿の大聖堂だった。
改めて訪れたその場所は荘厳でただひたすらに美しく、そこにいるだけで魂が浄化されるような不思議な感覚をしばし味わう。
「マリコ様、お待たせして申し訳ありません」
少しして、大司教がやってきた。
「ほう、ジュリアから報告は受けておりましたが‥‥確かに魔力が放出されているようですな」
大司教はそう言いながら私の手をとり、そのまま祭壇へといざなった。
そこには水を張った盆が用意されており、大司教が聞き慣れない言葉を呟きそこに手をかざすと、盆の中の水がほんのりと光を帯びた。
「マリコ様、手を水に浸けて頂けますか?」
言われるまま水に手を伸ばし、指先が水に触れた瞬間‥‥まばゆい程の光が辺りを照らした。
「綺麗‥‥」
光の中で揺れる水面が七色に輝いているのを見て、思わず呟いた。大司教も食い入るように水面を見つめる。
「ああ、なるほど‥‥」
私には見えない何かが見えているのか、大司教は揺れる七色の光を目で追いながら、ひとりごちた。
しばらくすると光は失われ、静寂の後‥‥大司教は鑑定の結果を語り出した。