聖母のマリ子
「魔力鑑定では色とその輝きによって属性と魔力の強さを知ることができます。この世界の大半の者は生活魔法として使われる白の属性を有しており、他に赤・青・緑・茶・黄の属性が存在します。それらは遺伝によって細々と受け継がれていて、徐々に数を減らしているのが現状です」
白の属性以外が減っていて、属性は遺伝で受け継ぐ。
大司教の説明は限りなくシンプルで分かりやすいが、なんだろう‥‥嫌な予感がして、この場から逃げ出したくてしょうがない。
「マリコ様の鑑定結果は説明するまでもなく、全ての属性が確認されました。中でも注目すべきは、桃の属性。100年以上前に失われたとされていた愛を司る桃の属性を、マリコ様が再びこの世界にもたらして下さったのです」
「愛の属性‥‥?」
なんだそれ?なんか意味あるの?
「文献によれば、桃の属性は人々の幸福度を増幅し国の繁栄に大きく貢献したとされております。ただその属性は極希少であり、生活魔法とは異なって必要不可欠とも言い難く、保護されることなく消失してしまった」
「で、でも、この100年、桃の属性なしでも問題なくやってこれてたんだよね?」
消失した希少な桃の属性‥‥このままでは保護という名の監禁ルートまっしぐらな予感が拭えず、思わず口ごもってしまう。
「国が滅亡する程の出生率の激減。その危機を救うために降臨されたマリコ様が桃の属性を有されていたのです。無関係というのはあり得ないことでしょう」
「いや、でも‥‥」
「ただマリコ様が魔力を放出し続けているのも見逃せない事実です。この件に関しては国の研究所に報告し、検討の必要があるでしょう。マリコ様はお心を安らかに、これまで通り健やかにお過ごし頂ければと思います」
とりあえず大司教との面談は終えたが、その後、心安らかにとはいくはずもなかった。
属性が遺伝によって受け継がれるということは、希少な桃の属性を増やすためには私が子供を産むしかないのだ。私が男なら複数の女性を相手にすれば済む話だけど、残念ながら私は女で、子を増やすのはそう簡単な話ではないだろう。
「ねえジュリア、この世界の赤ちゃんは、どうやって産まれてくるの?」
「男女が愛し合った結果、腹に子が宿り産まれますが‥‥マリコ様の世界では違うのですか?」
魔法が存在する世界だしもしかしたらと思ったけど、花やキャベツから赤ちゃんが産まれるファンタジー要素は採用されていないらしい。
白の属性以外が減っていて、属性は遺伝で受け継ぐ。
大司教の説明は限りなくシンプルで分かりやすいが、なんだろう‥‥嫌な予感がして、この場から逃げ出したくてしょうがない。
「マリコ様の鑑定結果は説明するまでもなく、全ての属性が確認されました。中でも注目すべきは、桃の属性。100年以上前に失われたとされていた愛を司る桃の属性を、マリコ様が再びこの世界にもたらして下さったのです」
「愛の属性‥‥?」
なんだそれ?なんか意味あるの?
「文献によれば、桃の属性は人々の幸福度を増幅し国の繁栄に大きく貢献したとされております。ただその属性は極希少であり、生活魔法とは異なって必要不可欠とも言い難く、保護されることなく消失してしまった」
「で、でも、この100年、桃の属性なしでも問題なくやってこれてたんだよね?」
消失した希少な桃の属性‥‥このままでは保護という名の監禁ルートまっしぐらな予感が拭えず、思わず口ごもってしまう。
「国が滅亡する程の出生率の激減。その危機を救うために降臨されたマリコ様が桃の属性を有されていたのです。無関係というのはあり得ないことでしょう」
「いや、でも‥‥」
「ただマリコ様が魔力を放出し続けているのも見逃せない事実です。この件に関しては国の研究所に報告し、検討の必要があるでしょう。マリコ様はお心を安らかに、これまで通り健やかにお過ごし頂ければと思います」
とりあえず大司教との面談は終えたが、その後、心安らかにとはいくはずもなかった。
属性が遺伝によって受け継がれるということは、希少な桃の属性を増やすためには私が子供を産むしかないのだ。私が男なら複数の女性を相手にすれば済む話だけど、残念ながら私は女で、子を増やすのはそう簡単な話ではないだろう。
「ねえジュリア、この世界の赤ちゃんは、どうやって産まれてくるの?」
「男女が愛し合った結果、腹に子が宿り産まれますが‥‥マリコ様の世界では違うのですか?」
魔法が存在する世界だしもしかしたらと思ったけど、花やキャベツから赤ちゃんが産まれるファンタジー要素は採用されていないらしい。