ひとたらしどうし
「「……あ…」」


同時に、そんな声が漏れたの、は。


私のくちびるの端から、飲み切れなかった水が零れてしまったから。


ごめん。


つぶやいた、白石さんは、私を見つめている。


白石さんの通った鼻筋が、自販機の灯りを受けて、ふわりと光っている。


それをただ、見つめ返す。


ふいに白石さんの指先が、くちびるの端を濡らした水を拭った。


そのまま、その指先が、私のくちびるをやさしく撫でる。








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