ひとたらしどうし
「柚ちゃん、おはよう!」


いつもの笑顔で、車から降りてきた叶夢さん。


部屋で待ってくれてれば、良かったのに。


暑かったでしょ。


ほら、あったかくなっちゃって。


言いながら、私の頬に触ってくれた。


「でも、1秒でもはやく、叶夢さんに会いたかった……きゃ……?!」


言いかけて、思わずちいさな悲鳴が漏れたの、は。


ふいに引かれた、私の右手首。


そのまま、叶夢さんが私を抱き寄せたから。



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