ひとたらしどうし
「ん?ほらほらほらほら」


なんて、もう、からかい口調になっている。


あ、柚ちゃん、ピアスホールがあるんだね。


前を向いたままの、私の右耳たぶに、ふいに触れた叶夢さん。


そのまま、耳たぶを撫でる。


「少し前だったらさ、絶対にわからなかったことも。例えばこの、ピアスホールとか、さ」


そういうのをわかれる距離感が、うれしいね。


そうしてまた、やさしく私の耳たぶに触れる。



『同じこと』を考えていたんだ。


そう、思い知った瞬間の、こと。





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