ひとたらしどうし
「叶夢さん!ここにいたんですね。オレ、成形場に行ってきてもいいですか?ベルトの調子が悪いみたいで」


しゃがみこんでいる白石さんに話しかけてきたのは、大輔くんで。


「おー、行ってこい行ってこい。ってかお前、彼女に会いたいんだろ」


からかい声で、大輔くんに告げる白石さん。


「あー、ばれちゃいました?」


「ばればれだろ。まぁ、いいや、早く行ってこい。仕事はちゃんとしろよー」


「はいっ!もちろんですッ!!」


びしっと敬礼をする大輔くんを、ほがらかに笑いながら眺める、白石さん。


「あ、柚さん。行ってきまーす」


成形場のほうを指差しながら、ひらひらと手を振る大輔くんに、


行ってらっしゃい。


私も笑って、大輔くんを見送った。


大輔くんも白石さんと同じ、工務課で。


白石さんの下で働けるなんていいな。


頼もしいんだろうな。


思わず、微笑んでいる。














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