ひとたらしどうし
ふたりきりの空間に響いたのは、3回のリップノイズ。


叶夢さんが私からカラダを離したときにやっと、今起こったことを認識した。


私の頬と鼻先、最後にくちびる。


ちゅ。ちゅ。ちゅ。


軽い軽い、キスを落とした叶夢さん。


一瞬遅れて、赤くなる私の頬。


そこにはまだ、叶夢さんのキスが残っている。


思わず、叶夢さんを見つめたら。


「これくらいは、してもいいでしょ?オレの、特権」


ふふ。


少し照れた笑顔を見つめられるのも、私の特権。



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