ひとたらしどうし
「あーぁ、あー、あー、あー。まぶしッ!飛んでるッ!ハートがッ!ハートが飛んでるッ!!」


しっしっ!!


ばったばったと、私が飛ばしたハートをてのひらでご丁寧にはたきおとしながら、私の目の前の席へ腰を下ろしたのは、同僚の実奈ちゃんで。



「ちょッとっ?!見えない!見えないからッ!!どけて?ひと席ずらしてッ?!」


そんな私の悲鳴に近い苦情にも、


「はいはい。うるさいうるさーい」


言いながら、私の目の前に腰を降ろしてしまった。


「見えないッ!見えない!見えないッ!!」


実奈ちゃんを避けるように、首を左右に振るも、私のそんな動きに合わせて、実奈ちゃんも体を動かす。


「んもうッ!私の唯一の癒しの時間がー!!」


そうしているうちに、席を立ってしまった彼を、横目に眺める。









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