ひとたらしどうし
それをどこか、他人事のように自分自身で聞いている。


雨粒によって、カラダに張り付いているカットソーとジーンズは、とうに叶夢さんの手によって、剥ぎ取られている。


雨に濡れて、カラダの芯まで冷たいはずなのに、沸き上がってくるたくさんの感情で、燃えるように熱い。


……か、む、さ…、あつ……い……、


キスや、声を堪えることに躊躇するほどの、愛撫の隙間に、息も絶え絶えにつぶやいた私の声は、すべてすべて、叶夢さんのくちづけに吸い込まれる。


叶夢さんにも気持ちよくなって欲しくて、無意識にその素肌に指を這わせる。


……う…、


声にならない叶夢さんの声は、私に焦燥感にも似ている感情を植え付ける。






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