ひとたらしどうし
叶夢さんのてのひらが、素肌の上を滑ってゆく。


鼻先に頬にくちびるに、


肩先に腰に膝小僧に爪先に。


カラダのありとあらゆる箇所に、くちづけを落としてゆく叶夢さん。


我慢のタガが外れる、5秒前で、私の膝裏に当てた、てのひらを、ぐい、と、押し上げた。


羞恥心も、恥じらいも、どこかへ行ってしまったよう。


ただひたすらに、叶夢さんに、溺れる。


夢見心地な、ふたりきりの、時間。



それはこの世のものなのか、現実なのか。


遠くなりそうな意識の底で、それでもシアワセに落ちてゆく。






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