ひとたらしどうし
湯気が覆う、バスルーム。


バスタブの中には、叶夢さんが私を思って選んでくれたという、柚子の香りと柚子色のお湯が張られている。


思わず出たハナウタに、自分で自分に苦笑い。


ゆっくりと沈み込んだ、バスタブ。


ふわり、と香る柚子の香り。


叶夢さんも毎日、この香りに包まれているのかな。


だとしたら、私に抱き締められているみたいに、思ってくれているのかな。


無意識の感情はどこまでも、素直になる。








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