ひとたらしどうし
ほら、柚ちゃん。


まだ、叶夢さんの方へ視線を向けられない私に。


今度は、両頬に叶夢さんの両手が添えられる。


ふわり、としたあたたかさで、私の両目は、叶夢さんの両目にかちり、と合わさる。


そのてのひらのやわさと、体温にとろけてしまいそうになる。


このやわさにいつまでも浸っていたくて、思わず目を閉じた。


「…それ、は、」


叶夢さんのちいさなコトバが、頭のなかで響いた。



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