ひとたらしどうし
そんな叶夢さんの変化に、気がついていない高崎さんは、私を貶めるためにまた、口を開こうとする。


それを素早く察知した叶夢さんが、私の隣でコトバを発するために、息を吸う音がして。


大丈夫。


叶夢さんが今、私の隣にいてくれる事実があれば。


それだけで。


叶夢さんが音にしそうになった息を、叶夢さんの腕にてのひらを添えて、そっと引き受けた。


少し、びっくりしたように私を眺めている、叶夢さん。


こんなときだけれど、そんな表情も、もれなく、カッコいい。


笑え。


悠然と。


負けるわけには、いかない。


いや、負けてなんて、やらない。



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