ひとたらしどうし
「…まさか、だとは思うんだけど…」


はい。


おそるおそる、話し出した叶夢さんに、返事を返した。


「…もしかして柚ちゃん、意味わかってないとか…」


…は、い…。


「…まじかー、まじデスカ…。ひとたらしで、ひとの気持ち、ぐわんぐわん振り回すくせに、わかってないとか反則でしょーがッ!!」


いっつも、ひとの気持ちに敏いくせに、こういう時だけそれを発動しないなんて…どんだけ、ひとたらしなんだよッ…!!


このッ!!


言いながら、軽く私のおでこをてのひらで、叩いた叶夢さん。


「…た…ッ!!なんでッ?!なんで、なんでッ?!」


おでこを押さえながら反論した私を、ジト目で眺めている。




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