熱いランタンの光と。
 それはまずい、と、ぱっと目を開けると、いるはずのない、女がいた。

 彼女はろうそく型のLEDランタンを、明明とつけていた。暗い部屋にふわふわと明るい。

 眩しいくらいだけど、白いLEDの光よりは赤い方が好きだ。

「おはよ。やっと起きたの。」

 彼女は僕の方に手を伸ばす。

 スラリとしている白くて細い手だ。だけど寝起きの僕はその手をとれなかった。

 体が勝手にその手を拒み、そして彼女を拒んでいた。

 僕は心底怯えていたようだ。

 なぜ、ここに居るのだろう?僕が彼女を拒む理由はその「なぜ」しかない。それだけで汗が滲んでいる。

 僕ってこんなに弱かったかな?

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