復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~
 アレクサンドがいち早く資金援助をしなければ、辞めていく従業員の退職金も。残る従業員の給与も払えずにいただろう。

「さあ、とりあえずどうぞ」

「ありがとうございます」

 ワインをすすめ、リラックスしながら公爵に状況を説明してもらい、まずは現状の把握に努めた。

 公爵家は執事を始め強い団結がある。アレクサンドの資金援助もあるが、公爵家が誇る騎士団もほぼ全員が公爵家に残っている。

 領地民たちがせっせと農作物を城に届けてくれるというのには、公爵も随分励まされたようだ。

「ルイーズ嬢が宮殿にいるというのは本当ですか?」

「わかりません。ルイーズからという手紙は受け取りましたが、筆跡だけではなんとも、皇帝は宮殿に来るように催促するのですが、とても信じられず」

 ゴーティエ公爵は深い溜め息をつく。

「ルイーズなら公爵邸に帰らせてくれと伝えても、それには応じられないの一点張りで」

「おかしいですね」

 許すつもりなら、なせ、ルイーズを手放そうとしないのか。

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