復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~
「事件の一週間ほど前、最後に会いに行ったとき、ルイーズからこっそり渡された紙です」
【皇太子はなにか企んでいます。お父様は今すぐ戦地へ行き、大公閣下と一緒にいてください R】
女性らしい美しい字だった。
「あの子を置いていけるはずもなく、皇帝に会いに行きましたが、かと言ってルイーズの手紙を皇帝に見せるわけにもいかず」
「父上の様子は?」
「もうすぐアレクサンドが帰ってくると、陛下はうれしそうでした」
アレクサンドは頭を抱えた。
「ああ……。その頃だ。俺は、そろそろ決着がつきそうだと伝令を送ったから」
「その次の日です。事件は――」
重い沈黙に包まれた。
「あの子にはあれきり会えませんでした。なにを知り、なにを思い、どうしていたのか。知る由もありません」
公爵も、アレクサンドも瞼を閉じ、しばらく沈黙した。
気持ちを落ち着け、顔を上げたアレクサンドは大きく息を吸い「一時的だったんだ」と、話し始めた。
【皇太子はなにか企んでいます。お父様は今すぐ戦地へ行き、大公閣下と一緒にいてください R】
女性らしい美しい字だった。
「あの子を置いていけるはずもなく、皇帝に会いに行きましたが、かと言ってルイーズの手紙を皇帝に見せるわけにもいかず」
「父上の様子は?」
「もうすぐアレクサンドが帰ってくると、陛下はうれしそうでした」
アレクサンドは頭を抱えた。
「ああ……。その頃だ。俺は、そろそろ決着がつきそうだと伝令を送ったから」
「その次の日です。事件は――」
重い沈黙に包まれた。
「あの子にはあれきり会えませんでした。なにを知り、なにを思い、どうしていたのか。知る由もありません」
公爵も、アレクサンドも瞼を閉じ、しばらく沈黙した。
気持ちを落ち着け、顔を上げたアレクサンドは大きく息を吸い「一時的だったんだ」と、話し始めた。