復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~
「父は俺に次の皇帝になれと言っていた。周辺国とのいざこざを片付け、この大公領での成功を引っ提げて帝都に帰ってこいと。ディートリヒには母方のランベール公爵家の強い援助がある。その力に対抗し、混乱なく皇帝になるには、誰にもなにも言わせないだけの実績を作れと」

 頷く公爵も前皇帝の側近である。

「陛下は楽しみにされていましたよ。誰よりも閣下の活躍を喜んでいました」

 だがそれはうちに秘めた思いであり、公にはしていない。

 皇帝として国政が混乱しないよう、あくまで皇太子ディートリヒを蔑ろにはしなかった。

 アレクサンドが皇帝という地位にさほど興味がなかったのもある。

「ディートリヒが、なにを考えようが結果的に善政を布くならいいと思っていたんだ」

 だが、結果は言うまでもない。

 なにがなんでも皇帝になるために毒まで使って父をも手にかけた。

 しかもゴーティエ公爵を一緒に葬るという暴挙にでるとは。

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