復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~
遡ること二年前。
その日はルイーズの十七歳の誕生日だった。
ルイーズ・ゴーティエ。彼女はゴーティエ公爵家のひとり娘である。
ゴーティエ家は歴史ある公爵家だ。
初代ゴーティエ公爵は当時の皇帝の弟であり、皇族の血を引く
帝国に公爵家は三家。いずれの公爵家も家系を辿ると皇族へと続き皇位継承権を持つ故、おしなべて強い権力を持つ。
北の要塞モラン公爵家。独特な家風をもち、中央の政治には関わらない。
ランベール公爵家は、ディートリヒの母方の実家だ。東部から南部にかけての豊かな領地を持ち、東国へと渡る海の港もある故圧倒的財力を誇っている。
最後にゴーティエ公爵家。
帝国の剣と言われ、常に第一線で国を守ってきた。現公爵を含め、領主は代々ソードマスターであり、公爵家の騎士は帝国最強の騎士団と言われている。
ルイーズにとってゴーティエ公爵は、厳格だが優しく頼もしい父だった。